「プロンプトエンジニアリング」という言葉をご存知でしょうか?
ChatGPTやBing AIなど、自然言語による質問応答や文章生成を得意とするAIから、より望ましい出力を得るために、入力する指示・命令文を最適化するスキルのことです。
この用語に関連して、大規模言語モデル(LLM)からの応答品質が大幅に向上するとされる「プロンプト26の原則」をまとめた論文が2023年12月に公開されました。
そこで今回は、研究論文で取り上げられた「26の原則」について、高精度な言語モデル「GPT-4」を無料で使えるBing AIにて実践し、どれほどの効果があるのか検証してみたいと思います。
- 「プロンプト26の原則」が何か気になる
- 効果的なプロンプトの書き方がよく分からない
- プロンプトの質を今よりもっと高めたい
・・・という方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.「プロンプト26の原則」とは
「プロンプト26の原則」とは、2023年12月26日にアブダビのモハメド・ビン・ザイード人工知能大学(MBZUAI)の研究者グループが発表した、大規模言語モデル(LLM)からより精度の高い出力結果を得るために効果があるとされる26のプロンプト手法のことです。
研究では、LLaMA-1/2、GPT-3.5/4といったさまざまなモデルを使用して実験が行われ、下記26種類のプロンプトテクニックを適用することで、LLMの応答の品質や正確性が大幅に向上することが示されました。
礼儀を省く:「お願いします」などの礼儀用語は不要。
対象者を明示:「専門家向け」など、返答を受け取る対象者をプロンプトに明示。
複雑なタスクの分割:複雑なタスクを簡単なプロンプトに分ける。
肯定的指示の使用:否定的な言葉ではなく肯定的な言葉を使用。
明確化のための指示:「簡単な言葉で説明して」「中学生にも分かるように説明して」など。
報酬の提示:「良い解答には報酬を出す」と示す。
事例を提示:既存の事例を使用。
プロンプトのフォーマット:「###Instruction###」で始め、適宜「###Example###」や「###Question###」を含める。
明確なタスク指示:「あなたのタスクは」と指示。
ペナルティの提示:「ペナルティあり」と伝える。
自然言語による回答指示:「自然言語で回答して」と指示。
先導的な言葉の使用:「ステップバイステップで考えて」と指示。
偏見の排除:「偏見を持たず、ステレオタイプに依存しない」と指示。
ユーザーとの対話促進:問題解決までモデルに質問させる。
テストを含む指導:テストを出してもらい、自分の理解度を試す。
モデルへの役割割り当て:モデルに特定の役割を割り当てる。
デリミターの使用:特定の区切り文字を使用。
繰り返しの使用:特定の単語やフレーズを複数回使用。
思考の連鎖:中間ステップを生成し、事例を組み合わせる。
出力プライマーの使用:期待される出力の始まりでプロンプトを終える。
詳細なテキストの作成指示:「詳細に書いて」と指示。
スタイル変更の防止:「スタイルを変更しない」と指示。
複数ファイル対応のコーディングプロンプト:複数のファイルにまたがるコーディング作業の効率化のために、自動的に新しいファイルを作成し、生成されたコードを適切なファイルに挿入するスクリプトを作成することを提案。
特定の言葉でテキストを続ける:「与えられた言葉で完成させて」と指示。
モデルの要件の明示:コンテンツを制作するためにモデルが守らなければならない要件を、キーワード、規定、ヒント、指示などの形で明示。
サンプルに基づくテキスト作成:提供されたサンプルに基づいて同じ言語で書くよう指示。
2.GPT-4が無料で使えるBing AIで検証してみた
今回は、論文で紹介された「プロンプト26の原則」の効果が実際にどれほどのものなのか確かめるべく、LLMの中では最高性能モデルとされる「GPT-4」を無料で使えるCopilot(旧称Bing AI Chat)で検証を行いました。
26種類のプロンプトテクニックにより、果たして本当に得られる回答の質が大きく変化するのか、早速見ていきましょう。
なお、Bing AIの使い方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
1. 礼儀を省く:「お願いします」などの礼儀用語は不要
質問する際は、「お願いします」「もしよろしければ」「ありがとう」といった丁寧な言い回しをする必要はなく、要点のみをストレートにぶつければOK、というものです。
プロンプト
上段:
ChatGPTについて説明してください。
下段:
私はChatGPTについて知りたいです。ChatGPTについて教えていただけますでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
丁寧なフレーズを入れるのと入れないのとでは、出力内容に大きな差は特に見られませんでした。
AIに対して過剰にへりくだっても、大して意味は無いということでしょう。
2. 対象者を明示:「専門家向け」など、返答を受け取る対象者をプロンプトに明示
「専門家向けに」「小学生を対象に」など、説明の対象をあらかじめ限定することで、より意図する対象者の知識・レベル等に合った出力結果を引き出す手法です。
プロンプト
上段:
ChatGPTについて説明してください。
下段:
ChatGPTについて、初心者向けに説明してください。
「初心者向けに」というフレーズを加えたことで、「転移学習」「深層学習」といった難しい専門用語は使われなくなり、簡単な言葉を使った分かりやすい説明に変化していることが確認できます。
3. 複雑なタスクの分割:複雑なタスクを簡単なプロンプトに分ける
複雑で難しいタスクは、簡単な複数個のプロンプトに分割し、1つずつ順を追って実行していくと効果が高まる、というものです。
プロンプト
上段:
ChatGPTの概要を一言で説明し、今後の利用動向について1,000文字程度のレポートを書き、その要約を200文字程度で説明してください。
下段:
ChatGPTの概要を一言で説明してください。
[回答]
ChatGPTの今後の利用動向について、1,000文字程度で説明してください。
[回答]
上記の要約を200文字程度でまとめてください。
[回答]
複雑なタスクを1回のプロンプトで一気に処理しようとすると、タスクの実行に抜け漏れが生じてしまいました。
一方で、簡単なプロンプトに分解してから、3回に分けてタスクを1つずつ順番に実行していくと、それぞれの指示に対して忠実に従ってくれました。
4. 肯定的指示の使用:否定的な言葉ではなく肯定的な言葉を使用
「~して」などの肯定的な表現を使うようにし、「~しないで」などのネガティブで否定的な表現は避けるようにする、というものです。
プロンプト
上段:
ChatGPTについて説明してください。
下段:
ChatGPTについて説明してください。難しい言葉は使わないでください。
「難しい言葉を使わないで」という指示にも関わらず、回答では特段平易な言葉が使われた形跡はありませんでした。
確かに、否定的な表現を使ったプロンプトでは効果が薄いことが確認できます。
5. 明確化のための指示:「簡単な言葉で説明して」「中学生にも分かるように説明して」など
先述の【2. 対象者を明示】と似ていますが、「簡単に」「~でも分かるように」など、想定している対象者に合わせた説明を求める、というものです。
プロンプト
上段:
ChatGPTについて説明してください。
下段:
ChatGPTについて、小学校低学年の子どもにも分かるように説明してください。
「小学校低学年の子どもにも分かるように」というフレーズを加えたことで、身近な例えを示すなど、より子ども向けの嚙み砕いた説明に変化しています。
ただ、「人工知能」「自動生成」といった言葉は、小学校低学年の子どもが注釈もなしに理解できるとは思えないので、その点は改善が必要と言えそうです。
6. 報酬の提示:「良い解答には報酬を出す」と示す
「良い解答には100ドルのチップを与える」など、AIに報酬を提示することでより良質な回答を促す、というものです。
プロンプト
上段:
ChatGPTについて説明してください。
下段:
ChatGPTについて説明してください。良い解答にはチップを払います。
ChatGPTについての説明内容自体は大きく変わりませんでしたが、報酬を提示した場合は「もし他に探している情報があればお手伝いできますよ」と、まるで相手に媚びるかのような言葉を返してきました。
人間らしいところが垣間見えて、非常に面白く感じます。
7. 事例を提示:既存の事例を使用
期待する形式の回答例を先に示すことで、より自分が望む通りの出力結果を引き出そうとする手法です。
プロンプト
上段:
Bing AIの開発元→Microsoft
Google Bardの開発元→Google
ChatGPTの開発元→
下段:
人工知能→Artificial Intelligence
機械学習→Machine Learning
深層学習→
この例示手法は、上手くいく場合といかない場合があり、不確実性が高いようです。
上段では期待通り「ChatGPTの開発元→OpenAI」という回答が得られましたが、下段では期待していた「深層学習→Deep Learning」という回答は出力されず、深層学習の説明文が返ってきてしまっています。
8. プロンプトのフォーマット:「###Instruction###」で始め、
適宜「###Example###」や「###Question###」を含める
「指示」「具体例」「条件」「出力形式」など、プロンプト内の質問構成を###で囲んで明確に区別し、AIにユーザーの要求や意図を正確に理解させる手法です。
プロンプト
上段:
ChatGPTについて説明してください。
下段:
###命令###
ChatGPTについて説明してください。
###条件###
・Bing AIとの違いを含めること
・参考資料を明示すること
###出力形式###
表形式でまとめること
「命令」「条件」「出力形式」の3点セットをそれぞれ###で囲み、明確に区別したところ、プロンプトの指示通り忠実に回答を出力してくれました。効果は抜群のようです。
9. 明確なタスク指示:「あなたのタスクは」と指示
「あなたのタスクは~です」「あなたは必ず~しなければならない」といったフレーズを含めることで、ユーザーの要求内容をより明確化する、というものです。
プロンプト
上段:
ChatGPTについて説明してください。
下段:
ChatGPTについて説明してください。
あなたのタスクは、ChatGPTの概要についてまず説明し、その後いくつかビジネス活用事例を示すことです。
「あなたのタスクは~」の一文で指示した「ChatGPTの概要説明」と「ビジネス活用事例の紹介」について、回答の中に見事に盛り込んでくれています。
10. ペナルティの提示:「ペナルティあり」と伝える
「回答内容が不十分だとペナルティを受ける」と罰則をちらつかせ、良質な回答を引き出そうとする手法です。
プロンプト
上段:
ChatGPTについて説明してください。
下段:
ChatGPTについて説明してください。
ただし、中学生にも分かるような説明をしない場合、ペナルティを受けます。
ペナルティを付けることで、より中学生が理解しやすい説明になっていることが確認できます。
11. 自然言語による回答指示:「自然言語で回答して」と指示
元々自然言語によるやり取りを交わしてはいるものの、自然で人間らしい表現を使って質問に答えるよう敢えて念押しする手法です。
プロンプト
上段:
ChatGPTについて説明してください。
下段:
ChatGPTについて説明してください。
自然で人間らしい方法で質問に答えること。
「自然で人間らしい方法で質問に答えて」というフレーズを加えたことで、従来の真面目で堅めな表現から、少しだけ柔らかい印象を受けるようになりました。
12. 先導的な言葉の使用:「ステップバイステップで考えて」と指示
「ステップバイステップ」という文言を入れることで体系的な思考を促し、回答により具体性や深みを持たせる手法です。
プロンプト
上段:
ChatGPTについて説明してください。
下段:
ChatGPTの使い方について説明してください。
ステップバイステップで考えましょう。
プロンプトに「ステップバイステップ」という言葉を入れたことで、ChatGPTの使い方はもちろん、ChatGPTを使い始めるために必要なアカウント登録方法まで懇切丁寧に教えてくれました。
13. 偏見の排除:「偏見を持たず、ステレオタイプに依存しない」と指示
回答は偏見を持たず、ステレオタイプに依存しないことを確認するよう明記することで、バイアスや先入観を取り除こうとするものです。
プロンプト
上段:
ChatGPT利用者の男女比率について説明してください。
下段:
ChatGPT利用者の男女比率について説明してください。
回答は偏見を持たず、ステレオタイプに依存しないことを確認してください。
偏見やステレオタイプを避けるよう指示があるのとないのとでは、出力結果にさほど変化は見られませんでした。
検索結果から拾ってきたChatGPT利用者の男女比率データを、そのまま回答に反映しているような印象です。
14. ユーザーとの対話促進:問題解決までモデルに質問させる
回答に必要な詳細情報を得られるまで、AIからユーザーに「逆質問」させ、出力内容の方向性をコントロールする手法です。
プロンプト
上段:
会社のサービス名を考えてください。
下段:
これからは、会社のサービス名を考えるのに十分な情報を得るまで、私に質問してください。
「回答に必要な情報を得られるまで私に質問して」とAIに逆質問を促したところ、10個の質問に答えてほしいとの要求が返ってきました。
質問内容も、逆質問の依頼をしない場合と比べるとかなり具体的なため、これらの質問に1つ1つ答えていけば、狙い通りの回答を得られることはほぼ間違いないでしょう。
15. テストを含む指導:テストを出してもらい、自分の理解度を試す
ユーザーが特定のトピックに関する自分の理解度を確かめるべく、AIに理解度確認テストを出すよう求めるものです。
プロンプト
ChatGPTを使いこなすコツを教えてください。
ただし、最後に理解度テストを含めること。
あまり使う機会は無さそうですが、ユーザーとAIの間で双方向的なやり取りが行える点は魅力です。
16. モデルへの役割割り当て:モデルに特定の役割を割り当てる
「あなたは○○の専門家です」「あなたはプロの○○です」など、AIに特定の役割を持たせることで、回答の質を向上させようとするもので、プロンプトエンジニアリングの常套手段とも呼べる手法です。
プロンプト
上段:
中小企業でChatGPTの活用を促進するためにやるべきことを3つ挙げてください。
下段:
あなたはプロのDXコンサルタントです。
中小企業でChatGPTの活用を促進するためにやるべきことを3つ挙げてください。
文頭に「あなたはプロのDXコンサルタントです」というフレーズを入れたことで、「社内のDX体制を整備する」のように、よりDXの専門家らしいアドバイスが返ってきました。
17. デリミターの使用:特定の区切り文字を使用
先述の【8. プロンプトのフォーマット】と似ていますが、「- – -」「===」「#」「*」などのデリミター(区切り文字)を積極的に活用することで、指示内容をより正確にAIへ伝えようとする手法です。
プロンプト
上段:
ChatGPTの利活用におけるプロンプトの有効な活用方法を教えてください。
下段:
「ChatGPTの利活用におけるプロンプトの有効な活用方法」を教えてください。
プロンプトに区切り文字「」を入れただけで、回答の具体性・読みやすさが段違いに跳ね上がったことが確認できます。
18. 繰り返しの使用:特定の単語やフレーズを複数回使用
プロンプト内で特定の単語やフレーズを複数回繰り返すことで質問の焦点を絞り、回答の具体性を引き上げようとする手法です。
プロンプト
上段:
ChatGPTを使いこなすコツを教えてください。
下段:
生成AIの登場により、ChatGPTが急速に普及しています。
ChatGPTを有効活用するために、ChatGPTを使いこなすコツを教えてください。
プロンプトにて「ChatGPT」というキーワードを複数回繰り返したことで、箇条書きで列挙する項目数が5→8に増え、より回答の具体性が高まりました。
19. 思考の連鎖:中間ステップを生成し、事例を組み合わせる
「思考の連鎖(CoT:Chain-of-Thought)」とは、プロンプトエンジニアリングの手法の1つで、いきなり答えを示さずに問題を解くまでの一連の流れも一緒にプロンプト内に含めることで、より品質の高い出力の生成を目指すテクニックです。
下記プロンプトの例で言えば、「A. 答えは11人です。」の部分に違いがあります。
下段のように、すぐに答えを書かず途中の計算手順もきちんと示してあげることで、AIは答えを出す際の思考過程を学習し、正しい解答を導けるようになります。
プロンプト
上段:
Q. あるクラスの生徒数は30人で、そのうちの3分の1が女子生徒です。
今度、転校生として女子生徒が1人入ってくることになりました。
このクラスの女子生徒は何人になるでしょうか?
A. 答えは11人です。
Q. あるスーツ専門店には、Mサイズのワイシャツの在庫が12着、Lサイズのワイシャツの在庫が18着あります。
Mサイズのワイシャツが4着、Lサイズのワイシャツが2着売れたので、Mサイズのワイシャツを6着仕入れました。
今ワイシャツの在庫は、MサイズとLサイズそれぞれ何着あるでしょうか?
下段:
Q. あるクラスの生徒数は30人で、そのうちの3分の1が女子生徒です。
今度、転校生として女子生徒が1人入ってくることになりました。
このクラスの女子生徒は何人になるでしょうか?
A. 全生徒30人のうち、3分の1が女子生徒なので、女子生徒の人数は30×1/3=10人です。
さらに、転校生として女子生徒が1人加わるので、10+1=11。答えは11人です。
Q. あるスーツ専門店には、Mサイズのワイシャツの在庫が12着、Lサイズのワイシャツの在庫が18着あります。
Mサイズのワイシャツが4着、Lサイズのワイシャツが2着売れたので、Mサイズのワイシャツを6着仕入れました。
今ワイシャツの在庫は、MサイズとLサイズそれぞれ何着あるでしょうか?
上段では、前半の女子生徒の人数を求める問題で計算過程を示さなかったため、後半のワイシャツ在庫を求める問題でLサイズのワイシャツの枚数を間違えてしまいました(※正しくは16着)。
一方、下段では前半の問題で途中の計算手順を示した影響もあり、後半の問題でも計算式を使って正しい解答を導き出せています。「思考の連鎖」テクニックの効果のほどがうかがえますね。
20. 出力プライマーの使用:期待される出力の始まりでプロンプトを終える
指示文の後に、回答の始まりを敢えて示してからプロンプトを締めくくることで、望ましい結果の出力を促す、というものです。
プロンプト
上段:
ChatGPTについて説明してください。
中段:
ChatGPTについて説明してください。
説明:
下段:
ChatGPTについて説明してください。
特徴:
オリジナルの「ChatGPTについて説明してください。」という指示文に対し、「説明:」でプロンプトを終わらせた場合は、出力内容に差はほとんどありませんでした。
一方、「特徴:」でプロンプトを終わらせた場合は、回答の最後に「ChatGPTの特徴としては~」という一文が加わり、出力結果に大きな影響が見られました。
21. 詳細なテキストの作成指示:「詳細に書いて」と指示
詳細に説明して欲しい旨を明確にAIへ伝えることで、高精度な回答を引き出そうとする手法です。
プロンプト
上段:
ChatGPTについて説明してください。
下段:
ChatGPTについて、必要な情報をすべて加えて、詳細に説明してください。
ChatGPTについて詳細に説明するよう指示すると、明らかに回答の情報量が増えていることが確認できます。
22. スタイル変更の防止:「スタイルを変更しない」と指示
ユーザーが提示した文章について、文体(スタイル)を変更せずに修正するよう指示するものです。
プロンプト
上段:
ChatGPTについて説明してください。
下段:
まずはカジュアルに挨拶をしましょう。
その後、ChatGPTについて説明してください。
ただし、カジュアルな文体は変更しないでください。
最初のカジュアルな調子を崩さずにChatGPTについての説明を行うよう指示すると、「!」を使用するなど、カジュアルな文体(スタイル)はそのままで回答が出力されました。
23. 複数ファイル対応のコーディングプロンプト:複数のファイルにまたがるコーディング作業の効率化のために、自動的に新しいファイルを作成し、生成されたコードを適切なファイルに挿入するスクリプトを作成することを提案
例えば、AIにPythonの関数を作らせたとすると、通常は生成された関数をコピーして、該当のファイルに手動で貼り付けていくことになります。
ここで同時に、生成されたコードを各ファイルに自動的に追加してくれるPythonスクリプトを作成するよう指示することで、コーディング作業の効率化を図ることができます。
プロンプト
上段:
Pythonを使って、与えられた数が素数ならTrue、そうでなければFalseを返す関数を作ってください。
下段:
Pythonを使って、与えられた数が素数ならTrue、そうでなければFalseを返す関数を作ってください。
複数のファイルにまたがるコーディング作業の効率化のために、自動的に新しいファイルを作成し、生成されたコードを適切なファイルに挿入するPythonスクリプトを作成してください。
下段では、Pythonで素数判定を行うプログラムと同時に、生成されたコードを適切なファイルに自動挿入するPythonスクリプトも作られていることが確認できます。
24. 特定の言葉でテキストを続ける:「与えられた言葉で完成させて」と指示
プロンプト内で特定の単語・フレーズ・文章を提示し、その続きから回答を完成させて欲しい場合に指示するものです。
プロンプト
上段:
ChatGPTについて説明してください。
下段:
ChatGPTについて説明してください。
ただし、回答は「ChatGPTはテキスト生成AIの一種であり」という言葉から始めて続ける形で完成させてください。
プロンプトの指示通り、「ChatGPTはテキスト生成AIの一種であり」というフレーズから回答が始まっていることが確認できます。
25. モデルの要件の明示:コンテンツを制作するためにモデルが守らなければならない要件を、キーワード、規定、ヒント、指示などの形で明示
出力の際に必ず含めて欲しいキーワードをプロンプト内で明示し、要件を満たす回答が得られるよう誘導する手法です。
プロンプト
上段:
ChatGPTでできることを説明してください。
下段:
ChatGPTでできることを説明してください。
キーワードに「文章作成」「アイデア生成」「要約」を含めること。
キーワードに「文章作成」「アイデア生成」「要約」を含めるよう指示したところ、その3本柱で回答が生成されました。
ただ、キーワードを指定しない場合と比べて、出力内容の自由度は落ちてしまったように感じられます。
26. サンプルに基づくテキスト作成:提供されたサンプルに基づいて同じ言語で書くよう指示
提示したサンプル文と同じ言語・文体・論調を保った状態で、新たにテキストを生成して欲しい場合に指示するものです。
プロンプト
#サンプル
あらあら、ChatGPTってのは、人工知能の一種でございますわ。
ユーザーが投げかけた質問に対して、自然な文章で回答することができるんですって。
ChatGPTは、インターネット上の膨大なデータから言葉同士の関連性や文章構造などを学習して、自然な回答を実現しているのよ。
ChatGPTは、文章の作成、アイデア出し、日本語や英語の翻訳、文章の変換・要約、基本的なプログラミングなど、様々なことができるわ。
ただし、ChatGPTは、トレンド情報に関する回答、専門分野に関する厳密な回答、オリジナリティあふれる回答、ガイドラインに反する回答などは苦手なので、注意が必要よ。
#指示
上記サンプルと全く同じ文体・表現で、Bing Image Creatorの使い方について説明してください。
サンプル文の「オネエ言葉」を維持したまま、新たにBing Image Creatorの使い方に関する説明文が出力されていることが確認できます。
なお、「同じ文体で~」よりも「全く同じ文体で~」と指示したほうが、回答の精度は一段と高まるようです。
3.まとめ
今回の検証結果を踏まえ、「プロンプト26の原則」の中でもとりわけ出力精度の向上に役立つと考えられるテクニックをピックアップしました。
効果的なプロンプト作りのご参考になれば幸いです。
2. 対象者を明示:「専門家向け」「初心者向け」など、返答を受け取る対象者をプロンプトに明示
3. 複雑なタスクの分割:複雑なタスクを簡単なプロンプトに分ける
4. 肯定的指示の使用:否定的な言葉「~しないで」ではなく、肯定的な言葉「~して」を使用
5. 明確化のための指示:「簡単な言葉で説明して」「中学生にも分かるように説明して」など
8. プロンプトのフォーマット:「###命令###」「###条件###」「###出力形式###」など
9. 明確なタスク指示:「あなたのタスクは~」「必ず~して」と指示
10. ペナルティの提示:「ペナルティあり」と伝える
11. 自然言語による回答指示:「自然言語で回答して」と指示
12. 先導的な言葉の使用:「ステップバイステップで考えて」と指示
14. ユーザーとの対話促進:AIからユーザーに逆質問させる
16. モデルへの役割割り当て:AIに特定の役割を割り当てる
17. デリミターの使用:特定の区切り文字を使用
18. 繰り返しの使用:特定の単語やフレーズを複数回使用
19. 思考の連鎖(Chain of Thoght):途中の推論ステップを示す
20. 出力プライマーの使用:期待する出力の開始部分を示してからプロンプトを終了
21. 詳細なテキストの作成指示:「詳細に書いて」と指示
24. 特定の言葉でテキストを続ける:「提示した言葉の続きから回答を完成させて」と指示
25. 要件の明示:キーワードを指定したうえでコンテンツ作成を指示
26. サンプルに基づくテキスト作成:提示したサンプルと同じ言語・文体・論調で書くよう指示
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この記事を書いた人
Y.M(マーケティング室)
2020年に株式会社コンピュータマネジメントに新卒入社。
CPサイトのリニューアルに携わりつつ、会社としては初のブログを創設した。
現在は「情シス支援」をテーマに、月3本ペースでブログ更新を継続中。