プロジェクトを成功へ導く課題管理の進め方は?問題・課題・タスクの違いも解説!

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プロジェクトを進めていると、スケジュールの遅延や予期せぬトラブルなど、少なからず様々な問題に直面します。

日々発生する多くの問題に漏れなく適切に対応していくためには、その問題が発生した原因を明らかにし、具体的な解決策を考え、期限や担当者を決めて進捗状況を管理しながら対応を行っていく「課題管理」が何よりも重要となります。

 

円滑なプロジェクト進行を実現するために切っても切り離せない関係にある「課題管理」ですが、実際どのようにして課題管理を進めていけば良いのかよく分からない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、よく混同されがちな「問題」「課題」「タスク」の違いも解説しながら、プロジェクトにおいて課題管理をどのように行っていけば良いのか、その一連のプロセスをご紹介していきます。

 

マネージャーやリーダーとしてプロジェクトを推進する立場にある方や、プロジェクトメンバーの一員として課題管理の考え方への理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

1.課題管理とは

課題管理とは、プロジェクトを達成するために、その過程で発生した解決すべき課題を把握し、改善を行うことを指します。

 

システム開発などのプロジェクトでは、当初の予定通り順調に進むことは滅多になく、日々様々な問題が発生します。しかし、発生した問題に対応しないまま放置していると、後々プロジェクトの進捗に悪影響を及ぼしてしまいます。

 

プロジェクトをより理想の姿に近づけるためには、問題の原因を分析して「課題」として明確に管理し、解決に向けて課題ごとに適切なアプローチを行う必要があるのです。

2.「問題」「課題」「タスク」の違い

「問題」と「課題」と「タスク」は、似ているように見えて実は全くの別物です。

よく混同されがちですが、プロジェクトを進めるうえではしっかりと区別して管理する必要があります。

問題 課題 タスク 違い

「問題」=あるべき姿と現状のギャップ

プロジェクトにおける「問題」とは、理想の「あるべき姿」と「現状」の差を指します。

 

例えば、プロジェクトではスケジュールの遅れが全く無い状態が本来のあるべき姿ですが、現実には予定よりも3日の遅れが発生しているとしたら、その差である「3日間のスケジュール遅延」が「問題」となります。

「課題」=問題を解消するために具体的に取り組むべきこと

一方「課題」とは、問題を解消するために起こすべき具体的なアクションを指します。

 

問題を無事解決に導くためには、発生した問題を分析して原因を洗い出し、特定した原因に対する打ち手を考え、その中から対応可能な解決策を見極めて実行に移していく必要があります。

例えば、上記「3日間のスケジュール遅延」という「問題」の原因を分析した結果、「プロジェクトに参画したばかりの担当者Aさんのスキルが不足している」が原因と判明した場合、その原因を取り除くための対策としては以下のようなものが考えられます。

・Aさんに研修を受けてもらいスキルアップを図る

・Aさんに専門資格を取得してもらいスキルアップを図る

・Aさんの作業を別の人にアサインして実施させる

この中からプロジェクトの予算や納期などを踏まえて実行可能な対策を抽出し、取り組むべき「課題」として設定します。

「タスク」=課題を達成するために必要な細かい単位の作業

「タスク」とは、課題の解決策に「担当」と「期限」を割り振り、1人で対応可能な単位まで分解したものを指します。

 

前項で挙げた3つの課題解決策のうち、「Aさんに研修を受けてもらいスキルアップを図る」をプロジェクトで対応すべき課題として選んだ場合は、その課題を達成するために以下のような作業が必要になると考えられます。この1つ1つの作業が「タスク」です。

タスク1:受講する研修・セミナー内容を決める
担当者:プロジェクトマネージャー(PM) 期限:4/10

タスク2:研修を受講する
担当者:Aさん 期限:4/15

タスク3:研修報告書を提出する
担当者:Aさん 期限:4/30

3.課題管理の進め方

「問題」・「課題」・「タスク」の違いが分かったところで、次は実際に課題管理を行う流れを詳しく見ていきましょう。

課題管理 進め方 プロセス

問題の認識

まずは、プロジェクトでの理想的な「あるべき姿」を踏まえながら、その達成に向けて障壁となっている様々な「問題」を見つけていきます。

 

理想と現状のギャップという「問題」の本来の意味を考えると、種類としては大きく以下3パターンに分けることができます。

既に現在進行形で発生している問題
ex. ボタンを押しても正常に画面遷移しない

いずれ発生が予想される問題(=リスク)
ex. 脆弱性が残っていると、情報漏えいなどのセキュリティリスクがある

設定した目標を実現するための問題
ex. Web問い合わせで10件/月を目指しているが、現状4件/月である

次に、問題が見つかったら、その問題について「何が」「どのように」問題なのかを明確にし、解決すべきテーマとして設定します。

 

この時、発生した問題を放置するとどのようなリスクがあるかしっかりと想定しておくことが重要です。

例えば、問題を放置した日数分だけプロジェクト全体のスケジュール遅延につながってしまう場合は、すぐさま問題の解消に向けて動き出す必要があります。

原因調査と分析

前項で定義した問題を発生させている原因を調査します。

 

まずは、問題の発生に伴い現状どのような状態に陥っているのか、事実情報を詳細に収集します。

同時に、その問題があるとプロジェクトにどのような影響があるのかについても調べておきます。

 

現状調査が終わったら、次はその結果をもとに原因の分析を行います。

代表的な原因分析の手法として、トヨタ自動車が発案した「なぜなぜ分析」があります。
起こった問題について「なぜ?」という問いかけを何度も繰り返し、背後にある真の原因を探っていきます。

また、同じような問題が過去に起きていないか調べることも有効です。

もし過去の類似事例を参照できれば、その記録をもとに原因を特定しやすくなります。

課題解決策の検討

原因分析が完了し、晴れて問題の発生原因を明らかにすることができたら、次はその原因を取り除いて元の「あるべき姿」を取り戻すための具体的な解決策を考えていきます。

 

思いつく限りの解決策を挙げたら、今度は「効果が見込めそうか」「時間がかかり過ぎないか」「実行可能かどうか」といった観点から優先順位をつけ、解決策を絞り込んでいきましょう。

期日の設定

課題解決に向けて最適な解決策を選択できたら、今までに挙がった課題との関連性や後続の作業に与える影響などを加味し、課題全体のバランスを見ながら対応期日を設定します。

 

なお、作業工数の見積もりについては、現実的に見て最も実現可能性が高い日数(=最頻値)をメンバーに割り当てるのが鉄則と言われています。

 

仮に、現実的に考えると5日で終わるものの、上手くいけば3日で終わり、最悪の場合13日かかる課題があったとします。

この時、プロジェクトの総責任者であるプロジェクトマネージャー(PM)は、平均値の7日ではなく、最頻値である5日を実際の対応期間としてメンバーに与え、その差である2日をバッファとして持たせます。

 

これは、平均値7日をそのままメンバーに割り当ててしまうと、メンバー側で工数をすべて使い切ってしまい、バッファがゼロになって軌道修正が効かなくなる可能性が高くなるためです。

プロジェクトのスケジュールにある程度余裕を持たせるためには、最初からバッファを含めた日数をメンバーへ渡さず、PM側でバッファを完全にコントロールする必要があります。

 

なお、プロジェクトでは解決するまでにどのくらい日数を要するのか全く先の見えない課題も存在します。

そんな時は、1~2日間ほどを調査期間に当て、何日あれば対応が完了できるか時間の見通しをまず立ててから実際に対応を始めるケースが多くなっています。

課題のタスク化と担当者の配置

期日を設定したら、課題の解決策を具体的なタスクに落とし込むべく、WBSを作成して細かい作業内容と担当者を決めていきます。

 

担当者については、課題を起票した本人が別の担当者を指名するのは基本的に難しいため、自分のスキルやスケジュール等を踏まえて対応できそうであれば起票者本人が担当となり、もし何らかの事情があって担当になるのが難しいようであれば、プロジェクトマネージャー(PM)にその旨を報告させるようにします。

 

一方、起票者から「自分では対応が難しい」というエスカレーションを受けたPMは、別メンバーへの担当の割り当てを行います。

この時、内容が複雑で解決に時間がかかりそうな課題にはよりスキルの高い人を、解決がそれほど難しくなさそうな課題には経験の浅い人を・・・といった具合に、解決に必要なスキルに見合ったメンバーを見極めて担当者をアサインするのがポイントです。

課題対応の実行・監視

タスクの内容と担当者が決まり、課題対応に向けた計画を立てられたら、いよいよ計画を実行に移していきます。

 

この実行・監視段階で重要となるのが「定期的な進捗状況の共有」です。

計画通り対応が順調に進んでいるかどうかをチェックし、もし進み具合が芳しくないようであれば、期日に間に合うように方向修正を行います。

 

ただし、「進捗」は人によって捉え方がかなり異なるため、個人の感覚に任せきりにして進捗をはかっていると、実際の進み具合との間にブレが生じてしまいます。

各メンバーが抱えるタスクの進捗状況を正確に把握するには、誰の目から見ても明らかで、物事の進み具合が確実に分かる絶対的な基準が必要です。

 

おすすめは、「成果物」完成までのステータスで進捗を把握する方法です。

一例として、以下のようなルールを設定しておくとメンバーが進捗率をより入力しやすくなります。

未着手・・・・・・・・・・・0%

着手・・・・・・・・・・・・10%

作成中・・・・・・・・・・・30%

レビュー待ち・・・・・・・・50%

レビュー指摘対応中・・・・・60%

指摘対応済み・・・・・・・・80%

完了・・・・・・・・・・・・100%

他に、対応にかかる日数を進捗率の基準とする方法もあります。

 

例えば、課題への対応に要する期間が5日間だった場合、20%刻みで進捗をはかっていきます。

予定通り作業が進んでいれば、1日につき20%ずつ進捗率が上がっていく計算になります。

 

いずれにせよ、プロジェクトマネージャー(PM)が進捗をいちばん把握しやすい明白な基準を定め、メンバー全員に対してその基準に沿った報告を徹底させることが的確な進捗管理のカギとなります。

課題の完了

対応が完了したら、その課題はクローズします。

 

課題を完了させるタイミングは、あらかじめプロジェクト内ではっきりさせておきましょう。

課題への対応が全て終わった時点で担当者がクローズを行い、定例のミーティングで課題の完了を承認するなどの方法が考えられます。

4.まとめ -課題管理でプロジェクトを成功に

いかがでしたでしょうか?

 

課題管理はプロジェクトの成功を左右する重要な取り組みの1つであり、課題が放置されて後に致命的なトラブルが発生しないようにするためにも欠かすことのできない作業です。

この記事をきっかけに、少しでも課題管理の進め方についてイメージが浮かんできましたら幸いです。

 

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この記事を書いた人

Y.M(マーケティング室)

2020年に株式会社コンピュータマネジメントに新卒入社。
CPサイトのリニューアルに携わりつつ、会社としては初のブログを創設した。
現在は「情シス支援」をテーマに、月3本ペースでブログ更新を継続中。