最終更新日:2023年5月26日
「ヘルプデスクの問い合わせ件数がなかなか減らない・・・」
「また同じような問い合わせが来て正直うんざりしている・・・」
「問い合わせ対応に手一杯で、本業にさっぱり専念できない・・・」
このようなお悩みを解決する手段として、「社内FAQ」の導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
しかし、「せっかく社内FAQを導入したのに、社員が全然活用してくれず形骸化してしまった・・・」という声がよく聞かれることもまた事実です。
そこで今回は、これから社内FAQを作成しようとお考えの方に向けて、社内FAQを導入するメリットや社員に長く愛用されるFAQを作るために注意したいポイントをご紹介します。
社内FAQに興味のある方や、社内FAQの導入・運用に絶対失敗したくないと感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.社内FAQとは
FAQとは「Frequently Asked Questions」の略語で、「よくある質問」のことを指します。
そして社内FAQとは、社員からの「よくある質問」に対する回答を体系的に整理したものです。
例えば、「マニュアルがどこにあるか分からない」「社内WiFiへの接続方法が分からない」などの疑問が生じた場合、通常社員は社内のヘルプデスク部門へ問い合わせを行いますが、社内FAQがあるとわざわざヘルプデスクへ問い合わせをしなくても、社員自身が自力で疑問を解決できるようになります。
特に、昨今はテレワークの浸透により、分からないことを周りの社員へ気軽に質問しにくい環境になっている企業が多いと考えられ、社内FAQの需要が今まで以上に高まっているといえます。
2.社内FAQを導入する5つのメリット
社内FAQを導入すると、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。
ここでは、5つの具体的なメリットをご紹介します。
社内ヘルプデスクの負担が減る
情シス部門など、社内のヘルプデスクには様々な社員から毎日のように問い合わせが殺到します。
問い合わせの内容は被ることも多く、ヘルプデスクの担当者は毎回似たような質問の対応に追われることが少なくありません。
その上、問い合わせを受けたら業務を中断して対応しなければならないため、あまりにも問い合わせの数が多いと本来の業務に支障をきたす恐れがあります。
社内FAQの導入により、社員自身に「よくある質問」の自己解決を促すことができれば、ヘルプデスク担当者は問い合わせ対応にそれほど時間や労力を割く必要がなくなり、その分本業に集中することができるようになります。
問題をスピーディーに解決できる
ヘルプデスクを利用した場合、社員は回答をもらえるまで業務を中断しなければならないケースも多く、担当者の不在や混雑により疑問やトラブルの解決が遅れてしまうと、問い合わせた本人の生産性低下につながる恐れがあります。
社内FAQなら、社員自ら回答を探し出してスピーディーに問題を解決できるようになるため、より効率良く時間が使えるようになり、業務効率や生産性の向上が期待できます。
業務時間外に発生した疑問・トラブルにも対応できる
有人のヘルプデスクでは、当然休日や夜間といった営業時間外に問い合わせ対応を行うことができません。
しかし、予期せぬ問題やトラブルは時間帯に限らず発生するため、業務時間外のためヘルプデスク担当者が不在という理由で解決が遅くなると困る場合も多いでしょう。
社内FAQを導入すれば、時間や場所によらず困った時にいつでもFAQを参照できるため、ヘルプデスク担当者の業務時間外にトラブルが発生した場合でも、社員が自己解決してタイムロスを減らすことができます。
テレワーク時でも疑問を解決しやすい
先述したように、近年はテレワーク下で業務を行っている企業も多く、オフィス出社時のように気軽に周りの社員へ質問することが難しくなり、以前よりも疑問の解決に時間のかかるケースが増えてきています。
その点、社内FAQを活用することで誰かの手を借りなくてもすぐに自力で疑問を解決できるようになり、テレワーク時にありがちな「誰に何を聞いたら良いのか分からない」と思い悩む時間を少しでも短くすることができます。
ナレッジが蓄積され、属人化を防止できる
ヘルプデスクに問い合わせがあっても、その質問と回答の内容を共有できる場が無ければ、問い合わせをした本人と担当者だけに知識やノウハウが偏ることになり、「この人がいないと~が分からない」といった業務の属人化を招く可能性があります。
特定の社員にノウハウが集中してしまうと、その社員が休暇や異動、退職などで業務から離れた際に会社として大きな損失につながりかねません。
社内FAQがあると、実際に社員から問い合わせがあった内容やベテラン社員が持つ知恵・スキルをナレッジとして蓄積し、他の社員にも簡単に共有できるようになります。
社員の誰もが・いつでも・必要とする時に会社の「ナレッジ」にアクセスして活用できる環境を作り出すことで、業務効率の向上や品質の安定化が目指せます。
3.社内FAQの種類
社内FAQを作成する際は、どのツールを利用するかよく検討する必要があります。
代表的な4つの社内FAQツールを見ていきましょう。
エクセル
社内FAQをいちばん手軽に作成できるのがエクセルでしょう。
質問と回答を入力するだけである程度形になり、部署やカテゴリー別にシートを用意すれば一覧性も高くなります。
ただし、検索機能が充分とはいえないため、使いやすさという点から見るとマイナス評価となってしまいます。
FAQサイト
社内向けのポータルサイトなどにFAQ用のページを追加する方法です。
あらかじめ回答部分を折りたたんでおき、質問をクリックすると隠れている回答を表示できる「アコーディオンメニュー」を実装すると、FAQを使う社員にとって必要な情報のみを効率的に手に入れることができるため、利便性がより高まります。
一方で、ページの作成・管理にHTMLやCSSをはじめとする専門知識が必要となり、運用メンバーが限られてしまうという難点があります。
FAQシステム
FAQの作成や運用に特化したシステムを導入する方法です。
上記のFAQサイトとは異なり、専門的な知識がなくても誰でも使いやすい社内FAQが作成できるのが特徴です。
なお、解析ツールが用意されているシステムであれば、各ページへのアクセス数や検索キーワードなどを分析して、社内FAQの改善や追加に役立てることができます。
チャットボット
チャットボットは、主に顧客向けのFAQで使用されることが多いですが、社内FAQとしても活用できます。
チャット形式で質問を投げかけると回答が返ってくる仕組みで、検索などの手間かがからず簡単に疑問を解決することができますが、十分なデータを集めないと回答の精度が低くなってしまうという問題点があります。
4.社内FAQの作り方
どのツールを使う場合でも、以下の3ステップに沿って行うと社内FAQの作成がスムーズに進みます。
問い合わせが多い質問をリストアップする
まずは、日々社員から寄せられる問い合わせの中から「よくある質問」をリストアップしていきましょう。
その後、緊急性や重要度の高い順に並び替え、FAQ作成の優先順位をつけていきます。
この時、「テレワーク用のソフトは?」のような漠然とした質問ではなく、「テレワーク用のソフトは何を使えば良い?」「テレワーク用のソフトのインストール方法が分からない」など、できるだけ質問の内容を細かく分けることで、より社員が自分の求めている回答を見つけやすくなります。
回答を作成する
次に、リストアップした質問の回答を作成していきます。
すべての質問に対して回答を作成するのは多大な時間と労力が必要となるため、まずは問い合わせ頻度や重要度の高い質問から優先的に回答の作成を行うことがポイントです。
回答については簡潔で分かりやすい表現を心がけ、必要に応じて表や画像、参考サイトのリンクなども挿入しながら、キャリアの浅い社員が見ても十分自己解決が目指せる形で用意しましょう。
運用・更新
社内FAQの質問と回答が完成したら、記載内容に間違いや不備がないか関係各所に確認のうえ、社内全体に周知して運用を開始します。
運用している間、社内ルールに変更があった場合や、FAQに載っていない質問がヘルプデスクに寄せられた場合は、適宜内容の追加・見直しを行いましょう。
さらに、利用者へ定期的にアンケートを取って意見や要望を募り改善を重ねていくと、よりFAQの完成度を高めることができます。
5.「良い」社内FAQを作成するための3つのポイント
せっかく社内FAQを作っても、肝心の社員に全く使われないようでは導入した意味がありません。
ここからは、社内FAQの作成・運用に失敗しないために気をつけたい3つのポイントをご紹介します。
①運用体制を確立し、追加・更新を定期的に続ける
社内FAQの運用で最も重要なのは、FAQに入っている情報を常に最新の状態に保ち続けるために、定期的な追加・更新作業を怠らないことです。
そもそも、利用する社員にとって情報が少なすぎたり古すぎたりするFAQは無価値も同然です。
FAQの利用率を上げるには、利用状況や社内環境の変化に合わせて内容のブラッシュアップを重ねる必要がありますが、そのためにもまず社内での運用体制はしっかりと確立しておきましょう。
具体的には、次のような体制を構築しておくことで、スムーズに社内FAQの追加・更新を行うことができます。
・運用責任者:社内FAQの運用に関するすべての責任を負う。FAQに掲載する内容の承認も行う。
・運用メンバー:FAQの作成・追加・更新・改善や社内周知を行う。
運用フロー例
②検索機能を充実させ、目的のFAQを探しやすい仕組みを作る
社内FAQにアクセスしても、自分の求めている回答になかなか辿り着けなければ、社員は「社内FAQで探すよりも分かる人に聞いたほうが早い」と考えてFAQの利用を諦めてしまいます。
特に、「キーワードで検索しても目的のFAQが全く出てこない」「検索結果が大量に出てきて絞り込み切れない」といった使いにくく手間のかかる社内FAQは、社内に浸透しにくいです。
利用者が自分の必要としている情報をすぐに見つけられるよう、以下のようなFAQの検索性を高める方法を実践してみると良いでしょう。
・FAQをカテゴリーごとに整理する
・FAQにタグを付ける
・よく検索されるキーワードを別枠で表示する
・あいまい検索にも対応できるよう、類似ワードや関連ワードを含める
・閲覧数の多い順にランキングを作成する
③質問と回答は「ユーザー目線」を意識して作成する
たとえ目的のFAQに辿り着いたとしても、専門用語が多すぎて難解な内容だった場合、社員は問題を自己解決できず、結局ヘルプデスクに問い合わせが入ることになります。
社員の誰もがFAQを読んですぐに問題解決に向けて行動を起こせるよう、質問文や回答は簡潔で分かりやすい表現を心がけましょう。
その際、下記3つの点を意識すると読み手の理解しやすい内容が出来上がります。
質問は二文に分割する
質問文は、「~をしたいです。どうすればいいですか?」のように、二文に分割すると意味が伝わりやすくなります。一文目で現在の状況を的確に説明し、二文目で疑問を解決できなくて困っている状態を表すことができるからです。
なお、質問内容が簡潔で二文に分けるまでもない場合は、「~について教えてください」「~について知りたいです」のように、語尾を工夫するとさらに分かりやすくなります。
二文に分ける
「~です。どうしたらいいですか?」
・不審なメールが届きました。どうしたらいいですか?
・資格手当一覧にある資格を新たに取得しました。どうすればいいですか?
・外部サービスを導入したいです。どの資料をどこに提出すればいいですか?
語尾を工夫する
「~について教えてください」
・会議室の予約方法を教えてください。
・PCがネットワークに接続できない時の対応方法を教えてください。
「~について知りたいです」
・複合機の使い方について知りたいです。
「~が分かりません」
・テレワークソフトのインストール方法が分かりません。
回答は端的に、長くなりそうならリンクで飛ばす
FAQの回答は1, 2文でシンプルに済ませ、補足や関連情報は別ページに記載してリンクさせることで、社員に対して問題のスピーディーな自己解決を促すことができます。
下記の例で言えば、「Google Chromeのアップデート方法を教えてください」という質問に対してその手順を簡潔に記載し、もしこの回答だけで疑問が解決しない場合は、「詳しく見る」ボタンから別ページにある詳細な設定方法を確認できるようになっています。
ここで大切なのが、質問に対する回答を別ページに丸投げしないということです。
回答が「以下のページをご確認ください」と「詳しく見る」ボタンのみで、別ページに飛ばないと手順がさっぱり分からないような記載の仕方は避けましょう。
画像キャプチャを効果的に活用する
回答が長文になってしまう場合や、文字だけではどうしても伝えにくい内容の場合は、読み手に直感的な理解を促せるよう画像キャプチャを随所で活用してみましょう。
例えば、申請書などの様式類は「書き方が分からない」「記載内容はこれで問題ないのか」といった問い合わせを極力減らすためにも、画像化した「記入例」を載せると効果的です。
補足として記入方法の説明も記載しておくと、さらに読み手にとって親切な回答になります。
①申請書の提出日を記入
②申請者の所属部署を記入
③申請者の氏名を記入(※ハンコの押し忘れにご注意ください)
④持出開始日・終了日を記入
⑤申請理由を記入
⑥管理番号を記入(※モニターに貼り付けてある番号を記入してください)
⑦⑧:分かる場合のみ記入
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この記事を書いた人
Y.M(マーケティング室)
2020年に株式会社コンピュータマネジメントに新卒入社。
CPサイトのリニューアルに携わりつつ、会社としては初のブログを創設した。
現在は「情シス支援」をテーマに、月3本ペースでブログ更新を継続中。