
企業におけるデータ管理や情報保護の重要性が高まる中、分散しているデータを一元管理し、セキュリティに配慮したうえで安全かつ効率的にデータを有効活用できるツールとして注目を集めているのが「Microsoft Purview」です。
Microsoft 365のアプリケーションと連携しながら、さまざまな場所に散在しているデータを分類・整理・一元管理し、コンプライアンスや情報漏えいリスクへの対応を強化できるツールとして、さまざまな企業で導入が進みつつあります。
ただし、Microsoft Purviewを利用できるのは、Microsoft 365のBusiness PremiumやE3/E5など、セキュリティ機能が充実したプランを契約しているユーザーのみに限られるため、「名前は聞いたことがあるけど詳しくは知らない」という方も多いかもしれません。
そこで今回は、Microsoft Purviewの概要や主な機能、導入によって得られるメリットを分かりやすく解説します。
情報の管理体制を強化したい方や、Microsoft 365のセキュリティ機能をさらに活用したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.Microsoft Purviewとは?
Microsoft Purviewとは、Microsoft社が提供する企業のデータ管理・保護・コンプライアンス対応を包括的に支援するためのセキュリティプラットフォームです。
データの一元管理や可視化、機密データの保護、内部不正のリスク管理などに役立つ機能が備わっており、企業によるデータ利活用の促進やセキュリティ強化を実現します。
元々は「Azure Purview」という名称でしたが、Azure PurviewとMicrosoft 365の「コンプライアンスセンター」が1つに統合され、現在の「Microsoft Purview」という名称になりました。
Purviewの料金体系
Microsoft Purviewは、利用した分だけ課金される「従量課金制」となっており、利用する機能や容量、時間などに応じて料金が変動します。
使用する機能やデータ量が多くなればなるほど、料金は高くなります。
Purviewには一部無料で利用できる機能や試用枠が用意されており、これらの無料枠を超えて使用された分に対して課金される仕組みとなっています。
利用料金は、Microsoftとの契約内容、購入日、為替レートによって大きく異なる場合があるため、正確な見積もりに関してはAzure営業担当者に問い合わせるのがおすすめです。
また、下記「料金計算ツール」にて「Microsoft Purview」を選択すると、事前に簡単な見積もり計算を行うことができます。
この「料金計算ツール」を使ってコストシミュレーションを行い、自社のデータ量や必要な機能を見極めてから導入を進めると良いでしょう。
Purviewが使えるMicrosoft 365プラン
Microsoft Purviewは、Microsoft 365の一部として利用できますが、提供されている機能は契約しているプランによって大きく異なります。
以下に、Purviewを使える代表的なMicrosoft 365プランと、含まれている主なPurviewの機能について簡単にまとめました。

Purviewで利用できる機能について、Microsoft 365のE3プランとE5プランの間にどれほどの差があるか詳しく知りたい方は、こちらの「エンタープライズプラン全機能の比較表」も併せてご参照ください。
2.Microsoft Purviewの主な機能
Microsoft Purviewの機能は、「データガバナンス」「データセキュリティ」「リスクとコンプライアンス」の大きく3つのカテゴリーに分けられます。

①データガバナンス
Microsoft Purviewの「データガバナンス」は、社内に分散するデータを一元管理し、整理・可視化することで、業務効率化やデータ活用の促進を支援する機能です。
- 必要な時に必要な情報を見つけにくい
- どのデータが最新なのか分からない
- 重複データや不要なデータが増える
など、社内のあちこちにデータが散らばっていると発生しがちな問題を解決し、企業による積極的なデータ利活用をサポートします。
主な機能は次の2つです。
- データマップ
- データカタログ
1. データマップ
「データマップ」は、企業内に点在するデータを自動でスキャン・分類し、「どこに・どんなデータがあるか」を地図のように見える化する機能です。
特徴
- データの可視化
社内外(クラウド・オンプレミス・SaaS)に分散しているデータの所在が一目で分かる
- 自動スキャン・分類
企業内のデータに対してスキャンをかけ、データの種類や属性を自動で整理
- データリネージュ(流れの可視化)
データの流れを追跡し、データの発生元や利用者、変更履歴、最終的な保管先などを可視化
- メタデータ管理
データに関する情報(=メタデータ)を自動で収集。ファイル名、作成者、更新日時、保存場所など。
2. データカタログ
「データカタログ」は、企業内に存在するデータを整理・分類し、ユーザーが必要なデータを辞書のように素早く効率的に検索できるようにするための機能です。
特徴
- 検索性の向上
データの名前や説明、作成者、更新日時などの情報(メタデータ)を整理し、目的のデータを検索しやすくする
- タグ付け・カテゴリー管理
用途ごとにカテゴリーを作り、関連するデータにはタグを付けてグループ化し、データを適切に分類
- データの詳細情報を提供
データの出所、所有者、利用履歴、所管部署、他データとの関係性といった詳細情報を提供し、データの正確性・信頼性を保証
- アクセス権限の管理
誰がどのデータを閲覧・編集できるのか、適切なアクセス権限を設定
②データセキュリティ
Microsoft Purviewの「データセキュリティ」は、企業の重要なデータを保護し、情報漏えいや不正アクセスのリスクを最小限に抑えるための機能です。
機密情報の保護やアクセス権限の管理、従業員による不正行為の監視を行うことで、データの安全性を確保し、故意または過失による情報漏えいリスクを軽減します。
主な機能は次の6つです。
- データ損失防止(DLP)
- データセキュリティ態勢の管理
- 情報バリア
- 情報保護
- インサイダーリスク管理
- 特権アクセス管理
1. データ損失防止(DLP)
「データ損失防止(DLP)」は、企業の機密情報が外部に流出しないように監視・制御するセキュリティ機能です。
「人」ではなく「データ」の動きを監視するのが特徴で、故意・過失ともに内部からの情報漏えい対策として非常に有効です。
また、企業が保有する膨大なデータの中から、重要だと認識されたデータのみ監視・制御を行うため、業務効率を妨げないという特徴もあります。
特徴
- データの取り扱いポリシーの設定
「どのデータを」「どのように取り扱うか」、企業のセキュリティ要件に応じてルールを設定
- 機密データの検出
企業内で機密情報を含むデータ(個人情報、クレジットカード情報、企業の重要なビジネスデータなど)を、事前に設定したポリシーに基づき自動で検出
- データの取り扱い制御
事前に設定したポリシーに従い、機密情報を含むメールの送信やコピー、印刷、アップロードなどを自動的にブロック
- リアルタイム監視と警告
企業内で機密情報が不正に扱われそうになった場合、リアルタイムで管理者に警告(アラート)を出し、迅速に対応できるようサポート
- レポートと監査
ポリシー違反が発生した場合の履歴を記録し、管理者に詳細なレポートを提供
2. データセキュリティ態勢の管理
データセキュリティ態勢の管理(Data Security Posture Management:DSPM)は、クラウド環境に存在する機密データを特定し、継続的に監視することで、セキュリティリスクを早期に検出・対処できるようにするための機能です。
特徴
- 自動検出
クラウド環境全体に存在する機密データを可視化し、どこに保存されているのか、誰がアクセスできるのかを把握
- データ秘密度の設定
Microsoft Purview内で定義した機密情報の種類・ラベルを使用して、データの機密性を評価
- 機密データ検出
機密性の高いデータとそれに関連するリスクを自動で検出し、リスクの優先順位付けと修復をサポート
- 攻撃パス分析
攻撃者が悪用する可能性のある経路を特定し、セキュリティ上の問題を分析
3. 情報バリア
「情報バリア」は、Microsoft Teams、SharePoint Online、OneDrive for Businessにおいて、社内の特定の部署やユーザー同士が情報のやり取りをできないように制限することで、機密情報の保護を図る機能です。
特徴
- 組織内のやり取りを制限
チャット、通話、メール、ファイル共有など、特定のやり取りをブロック
- ポリシーに基づく制御
「A部署とB部署は連携不可」など、特定ユーザーやグループ間におけるやり取りを禁止するポリシーを設定することで、自動的に制限がかかる
例えば、次のような場面で情報バリアが役立ちます。
- 金融機関で、トレーダーがマーケティングチームとチャットやファイルの共有をしないよう制限したい場合
- 学校で、講師が他校の生徒とファイルをやり取りできないようにしたい場合
- 財務担当者が社内の特定のグループと機密情報を共有しないように制限したい場合
- 機密資料を扱うチームが、他部署のメンバーとオンライン通話やチャットをできないようにしたい場合
- 研究チームが、製品開発チームとだけコミュニケーションを取れるように制限したい場合
4. 情報保護
「情報保護」は、企業の重要なデータや機密情報が社内外のどこに保存されていても、どこに移動しても、自動的に検出・分類・保護するための機能です。
特徴
- 自動で機密データを検出
個人情報やクレジットカード番号など、あらかじめ定義されたパターンに基づいて、組織内の重要な情報を自動で検出
- ラベル付けで保護ルールを適用
「一般」「社外秘」「極秘」など、データの重要度に応じて秘密度ラベルを付与し、ラベルごとに暗号化、アクセス制限などの保護ルールを自動/手動で適用
- どこにデータが保存されていても保護
SharePoint、Teams、OneDrive、Exchange Onlineなど、Microsoft 365環境全体にわたって秘密度ラベルと保護ルールを一貫して適用
5. インサイダーリスク管理
「インサイダーリスク管理」は、従業員や退職者、業務委託先の関係者など、企業内部からの情報漏えいの原因となる「うっかりミス」や「悪意ある行動」を早期に発見・対処するための機能です。
機密情報の持ち出し、不正アクセス、誤送信など、情報漏えいにつながりかねないリスクの高い行動を自動で検知・可視化し、セキュリティ担当者による迅速な対応をサポートします。
特徴
- リスク管理ポリシーの設定
「短時間に大量のファイルをダウンロードした」「退職予定者がファイルを個人ストレージにコピーした」「通常と異なる時間帯にアクセスがあった」など、どのような行動をリスクとみなして検知・監視するか、あらかじめルールを設定
- ユーザー行動の分析とアラート
Exchange、Teams、SharePoint、OneDriveなどの操作ログをもとに、ユーザーの行動パターンを継続的に監視
リスクの高い行動を検出すると自動でアラートが生成され、調査対象として表示
- 匿名化によるプライバシー保護
分析対象のユーザー名は初期状態では匿名化され、調査を進める中で必要な場合にのみ実名を開示できる設計となっており、従業員のプライバシーにも配慮
- Power Automateとの連携
アラート発生時に自動で通知や調査フローを開始するなど、対応の自動化も可能
6. 特権アクセス管理
「特権アクセス管理」(Privileged Access Management:PAM)は、高度な権限を持つ特権ユーザー(管理者など)による操作を厳しく制限・監視することで、操作ミスや不正利用による情報漏えいリスクを最小限に抑えるための機能です。
特徴
- 一時的なアクセスの許可(Just-in-timeアクセス)
常時ではなく、必要な時にだけ一時的に管理者権限を付与する
- 承認フローの設定
特権操作を行う前に、上長や管理者の承認を必要とする「承認フロー」を設定できる
- 操作ログの記録と監査
誰がいつ、どのような操作を行ったかをすべて記録し、後から追跡可能
- アクセスの有効期限設定
特権アクセスの有効期限を設定し、期限が過ぎれば自動的に権限をはく奪
③リスクとコンプライアンス
Microsoft Purviewの「リスクとコンプライアンス」は、企業が抱える情報漏えい、内部不正、法令違反などのリスクを最小限に抑え、コンプライアンスの強化を支援する機能です。
- 従業員による機密情報の持ち出し
- 操作ミスによる重要データの誤送信
- 法令・業界基準への対応漏れ
など、企業活動の中で起こりうるリスクを早期に特定・調査・軽減し、コンプライアンス違反の防止と社内体制の強化をサポートします。
主な機能は次の6つです。
- 監査ソリューション
- 通信コンプライアンス
- コンプライアンスマネージャー
- データライフサイクル管理
- レコード管理
- 電子情報開示(eDiscovery)
1. 監査ソリューション
Microsoft Purviewの監査ソリューションは、Microsoft 365環境でのユーザーや管理者による操作履歴を記録し、後から追跡・調査できるようにするための機能です。
主に、セキュリティインシデントの調査や内部不正の検出、内部/外部監査時の証跡提示用として活用できます。
特徴
- 高度な検索機能
ユーザー名、操作内容、時間帯など、条件を指定して詳細に検索可能
- 長期間のログ保持(※ライセンスによって異なる)
最大1~10年間にわたってログを保持できる
- アラートやインシデント管理との連携
他のセキュリティ機能(Microsoft DefenderやMicrosoft Sentinelなど)と組み合わせて、リアルタイムで異常検知・対応も可能
「監査(標準)」と「監査(プレミアム)」の違い

2. 通信コンプライアンス
「通信コンプライアンス」(コミュニケーションコンプライアンス)は、ExchangeメールやTeamsチャットといったMicrosoft 365内で行われるコミュニケーションを監視し、不適切な発言やコンプライアンス違反の兆候を早期に検出・対処するための機能です。
特徴
- ポリシーの設定
チームや部署、ユーザーグループごとに、柔軟に監視ルールを設定可能
- 自動検出
ハラスメント、脅迫、差別的表現、機密情報の不適切な共有など、リスクの高い発言内容をAIが自動で検出
- 管理者へのアラート通知
ポリシー違反が検出された場合は、管理者に自動でアラートを通知
- ユーザーへのフィードバック
ポリシー違反の際に、ユーザーへ注意喚起メッセージを自動で送信
- 調査・エスカレーション
違反行為に関する証拠を残し、必要に応じて調査や他の担当者へのエスカレーションが可能
- レポートと監査ログ
違反件数や対応状況のレポートを可視化し、抜け漏れ防止や継続的な改善に役立てるとともに、対応履歴や証拠をログとして残し、内部統制・監査対応に活用
3. コンプライアンスマネージャー
「コンプライアンスマネージャー」は、企業が規制・法令・業界標準(GDPR、ISO/IEC 27001など)への準拠状況を把握・管理し、コンプライアンス体制を効率的に強化できるよう支援する機能です。
特徴
- 各種法規制への対応状況をスコアで可視化
各規制・法令・ガイドライン等に対する現在の準拠状況を「コンプライアンススコア」で見える化し、改善が必要な箇所を一目で把握
- 推奨アクションの提示
スコアを向上させるために実施すべき具体的なアクションを提示し、改善対応の計画的な取り組みをサポート
- 多数のテンプレートに対応
GDPR、ISO/IEC 27001、NIST、CCPAなど、さまざまな業界・地域の規制や標準に対応したテンプレートを活用し、コンプライアンス評価や改善のための処置を効率化
- 役割ベースのタスク管理
コンプライアンス対策に向けたタスクを部門や担当者に割り当て、進捗状況を管理できるタスクリスト機能により、対応漏れを防止
- 自社独自の評価にも対応
Microsoftが提供する標準的な対応策に加え、企業が独自で定めたルールや内部監査項目などもまとめて記録・管理することで、社内の実情に合った柔軟なコンプライアンス評価が可能
4. データライフサイクル管理
「データライフサイクル管理」は、企業が保有するデータの「作成→保存→利用→破棄」までの一連の流れを管理し、データの適切な保持・削除を実現するための機能です。
企業にとって必要なデータを必要な期間だけ保持し、不要なデータは自動的に削除することで、コンプライアンス要件に基づくデータ管理をサポートします。
特徴
- アイテム保持ポリシーの作成
メールやファイル、チャットなどのデータに対し、「〇年間保持する」「〇年後に削除する」などのルールを設定
- 保持ラベルの適用
アイテムレベル(特定のドキュメント、ファイル、メール)でそれぞれ異なる保持設定を適用可能
- 削除リスクの軽減
保持ポリシーや保持ラベルにより、データが一定の条件を満たした場合にのみ削除が行えるよう管理し、意図しない削除や悪意のある削除からデータを保護
5. レコード管理
「レコード管理」は、法令や規制、業界の基準に従って厳格にデータが管理されるよう、企業が保有するデータのライフサイクルを監視・管理する機能です。
「データの適切な保持・削除を実現する」という点では、上記の「データライフサイクル管理」と同様ですが、法律や規制に基づいて重要なデータを適切に管理する必要がある場合は、こちらの「レコード管理」を活用します。
特徴
- レコードの分類と管理
企業のデータを「レコード」として分類し、各レコードに対して保持ポリシーを適用
- 保持ポリシーの設定
レコードに対して「保持」や「削除」のポリシーを設定し、必要なデータの保持と不要なデータの削除を自動化
- 法令や規制への準拠
法律によって保存期間が定められている書類(=法定保存文書)が適切に保存され、期間を過ぎた後は自動で削除されるよう管理
6. 電子情報開示(eDiscovery)
Microsoft Purviewの電子情報開示(eDiscovery)は、企業が法的手続きやコンプライアンス調査用に、証拠として必要なデータを効率的に収集・管理できるように支援する機能です。
特徴
- コンテンツの検索
Exchange、OneDrive、SharePoint、Teamsなどに保存されているメール、ドキュメント、チャット履歴などのデータについて、キーワードや日付、送信者/作成者、コンテンツの種類などをもとに迅速に検索
- データの保持
訴訟や調査に必要なデータが失われないよう、指定した条件に合致するデータの変更・削除を防止
- ケースの作成・管理
特定の訴訟や調査対応に向けて「ケース」を作成し、ケースごとに関連するデータを整理することで、必要な情報を効率的に検索・取得
- エクスポート
法的な証拠を外部に提出する際に、必要なデータを抽出してExcelやPSTファイル形式でエクスポートが可能
- 監査ログとレポート
電子情報開示(eDiscovery)におけるデータ検索・収集プロセスがすべてログとして記録され、レポート生成により訴訟や調査対応の透明性を確保
3.Microsoft Purviewの導入メリット
Microsoft Purviewの導入メリットとしては、次のようなものが挙げられます。
- データ管理の効率化
- セキュリティリスクの軽減
- コンプライアンス対応の強化
- データ利活用の促進
データ管理の効率化
企業では、ドキュメント・画像・動画・音声・電子メールなど、さまざまな形式のデータ群が日々蓄積されていきますが、これらのデータがバラバラの場所に保管されていると、目的のデータを探し出すのに多くの時間を要し、作業が滞ったり意思決定が遅れたりするリスクがあります。
Microsoft Purviewでは、クラウドやオンプレミスを問わず企業内に分散しているデータを自動的に分類・整理し、1つの画面でまとめて管理できます。
必要なデータをすぐに探し出せる状態となっているため、検索にかかる時間や手間も省け、業務の生産性が大きく向上します。
セキュリティリスクの軽減
Microsoft Purviewを導入することで、社内の機密情報や重要データに対する情報漏えい、不正アクセスといったセキュリティリスクを大幅に軽減できます。
特に、機密データの検出・分類・保護を担うDLP機能や、内部不正の兆候を捉えるインサイダーリスク管理機能により、不審な動きをリアルタイムで検知し、迅速なインシデント対応が可能です。
また、監査ログ機能により、「誰が・いつ・どの情報にアクセスしたか」を追跡できるため、セキュリティ対策の強化とトラブル時の迅速な原因究明にも役立ちます。
コンプライアンス対応の強化
Microsoft Purviewの導入により、企業はGDPR、ISO/IEC 27001などの法規制や業界基準、監査や訴訟へスムーズに対応できるようになります。
- 「現在のコンプライアンスレベルのスコア化」による改善点の把握
- 「通信内容の監視」による不正の兆候・違反行為の早期検出・是正
- 「データ保持・削除の自動化」による人的ミスの削減、法令遵守の徹底
- 「証拠収集の効率化」による法的トラブルへの備え強化
など、法令や社内規定違反のリスクを軽減しながら、企業全体のコンプライアンスレベルを高めることができます。
データ利活用の促進
Microsoft Purviewを導入することで、社内に散在していた膨大なデータを分類・整理し、必要な情報をすぐに見つけ出せる環境が整います。
複数のシステムや部門でバラバラに保管されていたデータを1つにまとめ、一元管理することで、部署の垣根を超えてデータを横断的に有効活用できるようになり、業務効率や意思決定のスピードが向上します。
また、データ分析プラットフォーム「Azure Synapse Analytics」などと連携することで、Purviewで分類・整理したデータをもとにAIやBIツールを活用した高度なデータ分析も可能となり、新たなビジネス価値の創出にもつながります。
4.Microsoft Purviewの活用シナリオ例
Microsoft Purviewの具体的な活用シナリオ例を3つご紹介します。
全国展開する小売チェーンでのデータ活用基盤作り
【課題】
- 全国の各店舗に分散したPOSデータや顧客情報の把握が困難
- マーケティング施策でデータを活用したくても、どこにどんなデータがあるか分からない
- 個人情報保護の観点から、顧客データを適切に管理する必要がある
【Microsoft Purviewの活用方法】
- データマップ機能により、社内のデータを自動でスキャン・整理し、どんなデータがあるか一目で把握
- データカタログ機能により、必要なデータを簡単に検索できるようにし、マーケティング施策に活用
- DLP機能により、顧客の個人情報が適切に保護されるようルールを設定し、漏えいリスクを軽減
【期待される効果】
- データの所在が明確になり、活用がスムーズに
- 情報漏えいリスクを減らし、安全にデータを管理
- マーケティング部門がデータに基づく最適な施策を迅速に展開
金融機関における情報漏えいリスクへの対応
【課題】
- 顧客の口座情報や取引履歴などの重要な機密情報を扱っており、情報漏えいリスクが常に存在する
- 内部の従業員による意図的または偶発的なデータ流出を防ぎたい
- 厳格な法規制(GDPR、FISCガイドラインなど)に準拠したデータ管理が求められる
【Microsoft Purviewの活用方法】
- インサイダーリスク管理機能により、不審なデータの持ち出しや大量のファイルダウンロードといった内部不正の兆候を早期に検知
- DLP機能により、メールやクラウド経由での機密情報の流出をブロック
- コンプライアンスマネージャー機能により、法規制に準拠したデータ管理を効率化
【期待される効果】
- 機密データの不正な持ち出しをリアルタイムで検知・防止
- 法規制に合ったポリシーを自動で適用し、監査準備を効率化
- 社内のデータ取り扱いルールを統一し、内部統制を強化
製造業でのIoTデータ活用とセキュリティ強化
【課題】
- 工場内のIoT機器から日々大量の生産データが生成されるが、管理が煩雑
- データが工場ごとにバラバラに管理されており、活用が進まない
- 機密情報(設計図、特許技術など)の漏えいリスクがある
【Microsoft Purviewの活用方法】
- データマップ機能により、IoTデータを自動で分類・整理・一元化し、どこに何のデータが存在するかを見える化
- Azure Synapse Analyticsと連携して生産データをリアルタイムに分析し、品質向上に活用
- 情報保護機能により、機密データに暗号化とアクセス制限を自動で適用
【期待される効果】
- 工場ごとのデータを統合し、生産の効率化や品質改善に向けた分析を迅速に実施
- 設計データや特許技術といった重要な機密情報を安全に管理
- 工場や部門ごとに異なっていたデータ管理ルールを統一し、サプライチェーン全体のセキュリティレベルを向上
5.Microsoft Purviewと連携できるサービス
Microsoft Purviewは、Azure・AWS・Google BigQuery・Oracle・SAP・Salesforceなど、多数のクラウドやオンプレミス、サードパーティ製SaaSのデータソースと連携が可能です。
また、構造化・非構造化を問わず幅広いファイル形式(CSV、JSON、PDF、Excel など)に対応しており、多様な環境に散らばったデータを可視化・分類し、一元的に管理しながら、部門を横断したデータ活用をスムーズに進められます。
連携可能なデータソースの一例
【Azure】
- Azure Blob Storage
- Azure Cosmos DB
- Azure Data Explorer
- Azure Data Lake Storage Gen2
- Azure Database for MySQL
- Azure Database for PostgreSQL
- Azure SQL Managed Instance
- Azure Synapse Analytics
【データベース】
- Amazon RDS
- Amazon Redshift
- Cassandra
- Db2
- Google BigQuery
- Hive メタストア データベース
- MongoDB
- MySQL
- Oracle
- PostgreSQL
- SAP Business Warehouse
- SAP HANA
- Snowflake
- SQL Server
- Azure Arc 上の SQL Server
- Teradata
【ファイル】
- Amazon S3
- HDFS
【SaaS・クラウドアプリケーション】
- Erwin
- Looker
- Power BI
- Salesforce
- SAP ECC
- SAP S/4 HANA
【利用できる構造化ファイル形式】
AVRO、ORC、PARQUET、CSV、JSON、PSV、SSV、TSV、TXT、XML、GZIP
【利用できるドキュメントファイル形式】
DOC、DOCM、DOCX、DOT、ODP、ODS、ODT、PDF、POT、PPS、PPSX、PPT、PPTM、PPTX、XLC、XLS、XLSB、XLSM、XLSX、XLT
6.まとめ- Microsoft PurviewのDLP機能を有効活用しよう
いかがでしたでしょうか?
なお、当社コンピュータマネジメントでは、今回ご紹介したMicrosoft PurviewのDLP機能を活用し、機密情報や重要データの保護に向けて、お客様のニーズに合わせたセキュリティポリシーの設計・実装を支援するサービスを展開しております。
まずは約6ヵ月間にわたるPoC(導入前検証)を実施し、設定したDLPポリシーが現状の業務プロセスに適合するかどうか、実際の運用環境に限りなく近い条件でモニタリングを行います。
モニタリング結果をもとに最適な設定・運用方法を模索し、本格導入に向けた調整が可能です。
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内部不正の防止対策を強化したい企業様や、Microsoft Purviewの機能を有効活用したいとお考えの企業様は、ぜひお気軽に当社コンピュータマネジメントへご相談ください。
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この記事を書いた人
Y.M(マーケティング室)
2020年に株式会社コンピュータマネジメントに新卒入社。
CPサイトのリニューアルに携わりつつ、会社としては初のブログを創設した。
現在は「情シス支援」をテーマに、月3本ペースでブログ更新を継続中。