最終更新日:2023年12月7日
情報システム部門(情シス)は、社内のシステムやネットワーク、セキュリティの運用・管理を担う非常に重要な部署であるにもかかわらず、その専門性の高さや業務範囲の広大さから、人手不足・負担増大・業務の属人化等に歯止めがかからず、大きな課題となっています。
その解決策の1つとして「アウトソーシング」の活用が注目されていますが、企業活動の根幹を支える情シス業務を外部に委託することで、本当に業務効率化や自社の課題解決につながるのでしょうか?
そこで今回は、情シス業務をアウトソーシングする際のメリット・デメリットや委託可能な範囲、自社にマッチした適切なアウトソーシング先を選定するにあたり注意したいポイントなどについて詳しくご紹介していきます。
情シス業務のアウトソーシングをご検討中の方はぜひご覧ください。
また、情シス業務に関して何かお悩みやお困りごとがございましたら、システム発注側業務の支援実績が豊富なコンピュータマネジメントにぜひご相談ください。資料ダウンロードはこちらです。
目次
1.情報システム部門(情シス)の業務内容とは
情報システム部門(情シス)は、社内で扱うシステムやネットワークの企画・開発・運用・保守に携わる部門であり、次のようにさまざまな業務を担当しています。
・IT戦略の策定
・社内システムの開発・管理
・社内インフラの構築・運用・保守
・ITデバイスの管理
・ヘルプデスク業務(問い合わせ対応)
・セキュリティ対策
情シスの体制は会社によって大きく異なりますが、中には担当者が1人しかいないケースや、他業務と兼任しているケースもあり、総じて業務量が膨大でオーバーワークになりがちな傾向にあるのが特徴です。
2.情シス業務をアウトソーシングする目的
テレワークの定着やサイバー攻撃の増加、クラウド導入の拡大など、社会情勢の変化に伴い情シスの役割や重要性が年々高まっている中、情シス業務の一部をアウトソーシングすることも視野に入れる企業が増えてきています。
ここでは、情シス業務のアウトソーシングを活用すべき3つの理由について解説します。
情シス業務の品質向上
情シス部門が行うべき仕事は山積みであり、目の前の作業に追われて他の業務がおろそかになり、対応品質が下がってしまうことがあります。
また、情シスを他業務と兼任している場合、担当者は必ずしもITに関する専門的な知識・スキルを持っているとは限らないため、業務品質の低下は避けられないでしょう。
高い専門性を持つ外部企業へ情シス業務の一部をアウトソーシングすることで、情シス担当者は本来やるべき業務に集中できるほか、作業品質の高さも保証されるため、結果として業務効率化や生産性向上につながります。
安定的なIT人材の確保
社内の情報システム環境を適正に維持・管理し、業務を円滑に進めるためには、優秀なIT人材の確保が必要不可欠です。
しかし、昨今では日本国内全体で深刻なIT人材不足に陥っており、新たな人材を採用するとなると多大な時間的・金銭的コストがかかってしまいます。
そこで、高額なコストを支払ってまで自社でわざわざIT人材を採用するのではなく、アウトソーシングを活用して専門性の高い人材に業務委託する形へ運用を変えることにより、安定的に効率良く優秀なIT人材を確保できるというわけです。
ITリテラシーの向上
先にも少し触れましたが、企業の情シス担当者が必ずしもIT分野に明るいとは限りません。
リソース不足の場合は、少しPC操作に詳しいからといった単純な理由で情シス担当者にいきなり任命されてしまうケースもあります。
アウトソーシングの活用で専門知識の豊富な業者がパートナーとなることで、日々の情シス業務に関してさまざまなアドバイスやサポートが受けられるのはもとより、変化が激しいIT技術の最新情報も常にキャッチアップできるため、担当者のスキルアップや企業全体のITリテラシー向上につなげられます。
3.情シス業務をアウトソーシングするメリット
情シス業務をアウトソーシングするメリットとしては、主に以下3つが挙げられます。
・担当者の業務負担を軽減できる
・業務の属人化を防げる
・採用コストの削減につながる
担当者の業務負担を軽減できる
対応範囲が幅広い情シス業務を一部アウトソーシングすることで、企業の情シス担当者の負担軽減が期待できます。
特に、「ひとり情シス」「兼任情シス」のように、社内の情シス担当が極端に少ない場合だと、特定の担当者に負荷が集中し、業務に対するモチベーションの低下や休職・退職につながってしまう恐れがあります。
アウトソーシングサービスを上手く活用し、「IT戦略の策定・企画」など、企業の利益や売上に直結するようなコア業務に注力できるようになれば、結果的に業務クオリティの向上や社員のモチベーションアップにつながります。
業務の属人化を防げる
属人化とは、ある業務の詳細な内容や進め方、注意点などについて、特定の担当者以外誰も知らない状態のことを指します。
情シス業務のアウトソーシングにより、属人化を防ぐことができるのもメリットの1つです。
情シス部門では、業務遂行に高い専門性が求められることから、一部の社員に負担が偏って業務がブラックボックス化してしまうケースも少なくありません。
しかし、何も手を打たないまま属人化を放置していると、担当者が突然の異動・退職等で不在になってしまった場合、業務がストップして企業活動に重大な支障をきたす恐れがあります。
アウトソーシングを活用すれば、委託先によって情シス業務の内容やフローが明確化されるため、少なくとも「どのように業務を進めるのか誰も知らない」状態に陥ることはなくなります。
なお、業務の属人化が起こる原因や、解消に向けたポイントについて詳しく知りたい方は、こちらも併せてご参照ください。
採用コストの削減につながる
情シス業務をアウトソーシングすれば、採用コストの大幅な削減も期待できます。
情シスでは、システム開発やIT戦略の立案など、高い専門性を持つ優秀なIT人材が求められます。
しかし、近年はIT人材不足が深刻化しており、他の職種に比べてエンジニアの給与は高水準に設定されているほか、社員として正式に採用するとなると、求人広告費や入社後の研修費など、多額のコスト・労力が発生します。
一方、アウトソーシングサービスを活用すれば、自社で採用活動を行うことなく専門知識を持ったIT人材へ必要な時に必要な分だけ業務を任せられるため、人件費の大幅な削減を図ることができます。
4.情シス業務をアウトソーシングするデメリット
情シス業務をアウトソーシングするデメリットとしては、主に以下2つが挙げられます。
・社内にノウハウが蓄積されにくい
・適切な委託先の見極めが難しい
社内にノウハウが蓄積されにくい
アウトソーシングを行うと、情シス業務を外部の専門業者に任せることになるため、社内のIT人材教育が進まず、ノウハウを溜めにくくなってしまう点には注意が必要です。
例えば、業務上何かトラブルが発生した場合でも、対応はすべて委託先で行われるため、考えられる原因は何か、どのような手段で問題を解決したか、といったナレッジはすべて委託先に蓄積されていきます。
そのため、アウトソーシングした分に関しては、次のような対策を取って委託先から随時ノウハウを共有してもらうようにすると、自社でも情シス業務を円滑に進めやすくなります。
・社内FAQを構築する
・トラブル発生時のマニュアルを作成する
・業務内容を把握・管理する人員を社内に配置する
・定例会を実施し、情報共有を徹底する
適切な委託先の見極めが難しい
情シス業務をアウトソーシングする際は、信頼できる業者を見極めることが非常に重要です。
「価格が安い」などの理由で安易に委託先を選定してしまうと、セキュリティ対策の不十分さが原因で情報漏えい事故が発生したり、責任範囲の曖昧さが原因で業務品質が低下したりするリスクが一気に高まります。
そのため、アウトソーシングを検討している場合は、委託先候補の企業が提供しているサービス内容や得意な分野、実績、評判などについてよく調べたうえで、自社のニーズに合致した信頼の置けるアウトソーシング先を見定めるようにしましょう。
5.情シス業務のアウトソーシング可能な範囲
アウトソーシングできる情シスの業務範囲は、各サービスによって異なります。
ここでは、一般的にアウトソーシング可能な情シス業務についてご紹介します。
システム企画立案
企業が抱えるさまざまな課題について、ITの力を活用して解決できないか検討し、予算に合わせて導入するツールの選定や既存システムの見直しを行う企画業務は、必要に応じてアウトソーシングすることができます。
ただし、情シス業務の中でも特に付加価値が高く、企業において非常に重要な役割を持つ企画業務は、安易に委託先へ全てを丸投げすべきではありません。
アウトソーシングの活用の仕方としては、委託先にコンサルティングとしての役割を依頼し、広い視野を持つ専門家ならではの知見を積極的に取り入れていくやり方が望ましいでしょう。
主な業務例
・課題の洗い出し
・システム全体像の策定
・導入したい製品の調査
・RFI(情報提供依頼書)/RFP(提案依頼書)レビュー
・見積もり妥当性レビュー
PC管理・設定
PCをはじめとするIT機器の調達、初期設定、バージョン管理、データ移行、廃棄などの管理・設定業務も、アウトソーシングが可能です。
特に、PCのセットアップを行うキッティング作業や、データ消去・廃棄作業は、新入社員の入社時など、ある特定の時期に業務量が著しく増えるのが特徴で、自社の情シス担当者にすべて任せきりにすると、過大な負荷がかかって情シス業務全体に支障が出る恐れがあります。
しかし、アウトソーシングであれば、必要な時期に必要な分だけプロに業務を依頼することができるので、安定した品質を保ちつつ自社従業員の負担も大きく軽減できます。
サーバーの構築・保守
社内ネットワークやサーバーの構築・保守作業も、アウトソーシングに適した業務です。
サーバー/ネットワーク環境の新規構築には、セキュリティ分野をはじめとする幅広い専門知識が必要になりますし、設置後もトラブルや障害、故障の発生に備えて「常に誰かがいて対応できる体制」が求められます。
専門家にこれらの業務をアウトソーシングすることで、サーバー/ネットワーク構築時に細かな要望に応えてもらえたり、監視・アップデート・メンテナンスなどの保守作業や緊急時のトラブル対応も丸ごと任せられるため、自社情シス担当者の業務負担が減り、他のコア業務へより集中できるようになります。
ヘルプデスク
システムの使い方や設定方法、トラブルシューティングなど、顧客や従業員から寄せられるシステム全般の問い合わせに対応するヘルプデスク業務も、アウトソーシングに適しています。
ヘルプデスク業務は、突発的に発生するため予測がしにくく、リソースの分配も難しいことから、情シスの悩みの種とも言われていますが、アウトソーシングを活用することで、自社専用のサポート窓口が開設され、専門家が自社担当者に代わってチャットやメール等を利用して問い合わせに対応してくれるようになります。
これらの業務には、システムに関する技術的な知識やトラブル解決力のほかに、高いコミュニケーション能力も必要とされることから、一からヘルプデスク人材を教育するための時間やコストをあまりかけられない場合は、アウトソーシングを利用するのがおすすめです。
セキュリティ対策
ウイルス対策ソフトの導入やパスワードの管理、サイバー攻撃に耐えうる堅牢な社内ネットワーク環境の構築など、企業として行うべき数々のセキュリティ対策も、アウトソーシング可能な範囲といえます。
近年、不正アクセスの手法はどんどん巧妙化しており、一度セキュリティ対策を施したからといって、将来にわたって安心が続くようなことはまずありません。
日々の状況を注視しつつ、新たなセキュリティ脅威が発生した場合には、臨機応変に対策を立てる必要があります。
特に、サイバー攻撃の最新手口や対策に詳しいセキュリティの専門家にアウトソーシングすることで、自社で一からセキュリティ対策の検討・実施を行うよりも、短期間かつ低コストで安全な環境を整えることができます。
6.情シスアウトソーシングの委託形態
情シス業務のアウトソーシングと一口に言ってもその委託形態はさまざまで、主に以下6つの種類が存在します。
自社の業務実態に合うアウトソーシング方法を導入することで、業務効率化や生産性向上といった目的を達成できます。
・フルアウトソーシング
・運用アウトソーシング
・ホスティング
・ハウジング
・ヘルプデスク
・常駐サービス
フルアウトソーシング
「フルアウトソーシング」とは、一部の作業をアウトソーシングするのではなく、社内システムの企画から要件定義、実際の開発、運用まで、業務機能のほとんどをアウトソーシングする形態のことです。
情シス業務に関わるほぼすべての作業を丸ごと委託先に任せられるので、社内のリソースをより重要度の高い仕事に振り分けられることが大きなメリットとなります。
運用アウトソーシング
自社のサーバーやOSなど、ITインフラの運用を委託する形態を「運用アウトソーシング」と呼びます。
運用担当者がおらず、社内で誰も使えないシステムがある場合や、業務多忙でメンテナンスができず、セキュリティの不安なシステムがある場合に、システム運用のみをアウトソーシングすることで、システムの技術的な問題に対して迅速かつ適切に対応することができます。
ホスティング
「ホスティング」は、外部に設置したサーバーやストレージについての準備・運用・保守・機能強化などを委託する形態のことです。
自社内にサーバーを設置してシステムを運用しているオンプレミス型の場合、トラブルや不具合が発生すると、一時的にサーバーを停止して対応を行う必要があるので、一定時間サービスを停止せざるを得なくなります。
このようなリスクを減らし、安定したサービスを提供するために、外部のサーバーをレンタルする企業も少なくありません。
ハウジング
「ハウジング」とは、自社で所有・運用しているサーバーや通信機器などを、データセンターを持つ専門企業のスペースを間借りして委託する形態のことです。
専門企業のサーバーを借り、運用・保守などもすべて委託するのが先述の「ホスティング」ですが、「ハウジング」はサーバーを自社で用意し、専門企業に預ける点が大きな違いといえます。
なお、「ハウジング」ではサーバーの所有権は自社にありますが、機器の保守やメンテナンス、トラブル対応は委託先に任せるケースが多くなっています。
ヘルプデスク
「ヘルプデスク」は、顧客からの電話やメールなどの問い合わせに対する技術的なサポート提供を外部企業に委託する形態を指し、コールセンターの業務もヘルプデスクに含まれます。
問い合わせやトラブルの対応を外部の専門企業に委託することで、自社のリソースをコア業務に集中させることができるため、生産性の向上が期待できます。
常駐サービス
「常駐サービス」は、外部専門企業のスタッフが自社内に常駐し、自社システムに対する技術的なサポートを受けられる形態のことです。
急なトラブルなどでサポートを必要とする際に即座に対応してもらえるほか、トラブルが起きていない時でも、システムに異常が起こっていないか常に監視を行ってくれるので、安定したシステム運用が行えます。
7.情シスアウトソーシングの契約形態
情シス業務をアウトソーシングする際は、委託先と「派遣契約」または「業務委託契約」のどちらかで契約を締結するケースが多いです。
これらの違いは、主に「支払われる報酬の対象」と「指揮命令系統」にあります。
派遣契約
業務を実施した「時間」に対して報酬が発生する契約形態で、派遣先の企業が派遣社員に対して直接指揮命令を行うのが特徴です。
業務委託契約
「成果物の完成」や「業務の遂行」に対して報酬が発生する契約形態で、受託側(=アウトソーシングを依頼されたベンダー側)に業務コントロール権が存在するのが特徴です。
仮に、業務委託契約で発注側(=アウトソーシングを依頼したユーザー企業側)が直接指示を出していると、「偽装請負」とみなされて法令違反になるため注意が必要です。
さらに、業務委託契約にはそれぞれ3つの種類(請負契約・委任契約・準委任契約)がありますが、情シス業務のアウトソーシング契約で適用されるのは、主に「請負契約」と「準委任契約」の2つになります。
請負契約
請負契約は、依頼した業務の「成果物」に対して報酬を支払う契約のことです。
逆に言えば、成果物が完成しない限り報酬は一切発生しないため、成果物のはっきりしているシステム開発やWeb制作の現場で多く締結されます。
あらかじめ決められた期日までに成果物を納品する必要がありますが、労働時間や働く場所、細かい進め方などに関しては、受託側(=アウトソーシングを依頼されたベンダー側)に一任されています。
準委任契約
準委任契約は、依頼した業務の「遂行」に対して報酬を支払う契約のことです。
成果物を規定しにくいコンサルタント業務や、システム運用・保守業務などでよく締結されます。
受託側(=アウトソーシングを依頼されたベンダー側)が自らの管理・責任のもと業務を遂行し、作業期間が終了すると報酬が支払われる仕組みです。
8.情シスアウトソーシングの費用形態
情シス業務アウトソーシングの料金形態には、「固定料金型」と「従量課金型」の2つがあり、利用目的や頻度に合わせて選ぶことができます。
固定料金型
固定料金型は、毎月もしくは毎年決まった金額を支払う料金形態です。
支払うべき金額が決まっているため、予算内に収めて利用しやすいのが特徴ですが、もし追加で依頼事項がある場合は、さらに料金が上乗せされてしまうので注意しなければいけません。
従量課金型
従量課金型は、利用した分だけ金額を支払う料金形態です。
例えばヘルプデスクだと、毎月の問い合わせ件数に応じて料金が決まるので、問い合わせが多ければ多いほど料金は跳ね上がりますし、月ごとの問い合わせ件数が大きく増減するようであれば、それに合わせて費用も大きく上下することになります。
必要な分だけ料金が発生するため無駄がなく、コスト削減につながりやすい側面もあるものの、利用量によっては予算をオーバーしてしまうこともあるため、利用前にしっかりと見積もりを行うことが重要です。
9.情シス業務のアウトソーシング先の選び方
情シス業務のアウトソーシング先を検討する際は、以下4つのポイントを意識すると良いでしょう。
・サービス内容
・コスト感
・導入実績
・セキュリティ体制
サービス内容
情シス業務のアウトソーシングで失敗しないためには、委託先候補の企業が「どのようなサービスを提供しているのか」「持っている強みや専門性は何か」を十分にチェックしたうえで、自社の目的に合ったサービス内容を選ぶようにしましょう。
どれほど充実したサービスを用意している業者であっても、自社が達成したい目的にサービスの内容が見合っていなければ、当然ながら十分な成果は得られません。
まずは、現在行っている情シス業務や今後必要になり得る業務をすべて一度洗い出し、課題感を踏まえてどの業務を自社で行い、どの業務を外部へアウトソーシングするか、しっかりと線引きをしてから、目的に沿ったサービスを提供している企業を選ぶことが重要です。
コスト感
情シス業務のアウトソーシングを検討する際は、サービスにかかる費用についても重要なポイントです。
たとえサービス内容が充実していたとしても、自社の予算を遥かに超えていたら本末転倒ですし、逆に価格の安さだけを見て委託先を選んでしまえば、必要なサポートを十分に受けられず失敗する可能性もあります。
費用対効果を意識して、サービス内容と予算のバランスを考えながらアウトソーシング先を選ぶことが大切です。
導入実績
導入実績も、アウトソーシング先を検討する際の重要な判断材料となります。
一般的に、導入実績が充実している業者ほど信頼性は高まりますが、比較の際は単に導入数だけではなく、「自社と同業界で、似たような課題を抱えていた企業の導入実績があるかどうか」にも注目しておくと、課題解決ノウハウの豊富さも相まって、よりスムーズかつ適切なサポートを受けられるでしょう。
セキュリティ体制
情報漏えいリスク低減のために、アウトソーシング候補先の情報セキュリティに対する取り組みもしっかり確認しておきたいところです。
情シス業務のアウトソーシングでは、自社の機密情報を委託先へ共有する機会も多いため、万が一そこでセキュリティ事故が発生してしまえば、世間からの社会的信頼を損なうことになりますし、場合によっては経営困難に陥る可能性もあります。
具体的には、プライバシーマークやISMS認証を取得しており、適切なポリシーを策定して運用を行っている企業であれば、セキュリティ体制についてはほぼ問題ないと考えて良いでしょう。
10.情シス業務のアウトソーシングを成功させるポイント
情シス業務のアウトソーシングを成功させるために、事前に押さえておくべきポイントを6つご紹介します。
自社の課題を明確にしておく
アウトソーシングをする前に、まずは自社の情シス業務内容をすべて洗い出し、負担が増大している業務は何か、リソースが足りず手が回っていない業務は何か、課題点を明確にしたうえで、外注したい業務と内製したい業務を切り分けておく必要があります。
課題を明確にせず、とりあえず対応に困っている業務を片っ端からアウトソーシングしたところで、かえって内製するよりもコストや工数が余計にかかってしまう可能性があります。
あらかじめ現状の課題を整理し、具体的に把握することで、委託先への業務の引き継ぎがスムーズになり、アウトソーシング後の効果検証もしやすくなります。
長期的な目標や計画を立てておく
アウトソーシングをする際は、将来の目標・ビジョンや今後の戦略について長期的な計画を立てておくといいでしょう。
現在はアウトソーシングで情シス業務を委託していても、将来的に内製化を考えているのであれば、委託先から手順書やマニュアルなどを随時共有してもらい、ノウハウや知見を吸収しておく必要があります。
また、自社が目指している方向性をアウトソーシング先にもあらかじめ共有しておくことで、プロの視点でより良い体制づくりや業務効率化の方法などを提案してもらえます。
アウトソーシング先の企業にも自社のビジネスを理解してもらい、お互いに対等なパートナーとして良好な関係を築いていきましょう。
予算の上限を決めておく
たとえ自社ニーズに合った充実のサービス内容だったとしても、当初の予算を大きくオーバーしてしまうとコストメリットは得られないため、アウトソーシングにあたり予算の上限額は決めておきましょう。
ただし、最初から予算額を絞りすぎてしまうと、
・後から追加で依頼したい業務が出てきたが、予算に入れていなかったので自社で行うしかない・・・
・トラブル対応に想定以上の時間がかかり、当初の予算を大幅に超えてしまった・・・
といった事態になりかねませんので、リスクに備えできるだけ余裕を持たせた予算の策定を行うようにしましょう。
複数の外注先に相見積もりを取る
自社にとって不要なサービスが含まれていてコストが割高になっている企業や、同じサービス内容でもより費用対効果の高い企業があるかもしれないので、アウトソーシングを検討する際は複数の業者に相見積もりを取って比較するようにしましょう。
自社とのミスマッチを防止し、後から「こんなはずじゃなかった・・・」と後悔することのないよう、はじめから一社のみに絞らず複数の企業から話を聞いてみるのがおすすめです。
トラブル発生時の対応を明確にしておく
情シス業務には、IT機器の故障やシステムのトラブル対応などが日常的に発生します。
こうしたイレギュラーな事態が起こった場合でも慌てず速やかに対処できるよう、あらかじめトラブル時の対応方法や報告手段、追加費用などについて取り決めを交わしておくのが望ましいといえます。
特に重要なのが報連相(報告・連絡・相談)のルール決めで、トラブル時は「いつ・誰に・どのような手段で報告するか」「夜間や休日の場合はどのような対応をとるか」などについて詳細に定めておくと、よりスムーズな運用を実現できます。
セキュリティ面の取り決めを行っておく
情シス業務のアウトソーシングでは、自社の機密情報を委託先へ提供する機会も多いため、情報漏えいなどのセキュリティリスクに対する備えが必須といえます。
具体的には、自社の持つ情報を開示する前にアウトソーシング先と「機密保持契約(NDA)」を結び、開示された機密情報の管理・取り扱い方法や、インシデントが発生した場合の責任の所在等に関して事前にしっかりと双方で確認しておくことが重要です。
11.情シス業務をアウトソーシングするまでの流れ
ここからは、実際に情シス業務を外部企業へアウトソーシングするまでの流れを見ていきましょう。
①問い合わせ・連絡
アウトソーシングの導入を決定したら、委託先候補の企業を何社かピックアップし、サービス概要や実績、費用感などについての問い合わせを行います。
多くの企業ではWebサイト経由で問い合わせ可能ですが、中には電話での申し込みが必要なケースもあります。
「まずは話を聞いてみたい」「見積金額が知りたい」など、基本的には相談ベースの問い合わせでOKです。
②要望をヒアリング
問い合わせが完了したら、通常1~3営業日ほどで企業担当者から打ち合わせ日程調整の連絡が来て、後日その打ち合わせの中で詳しい要望内容のヒアリングが行われます。
この時点で細かな要望が固まっていなくても、専門知識の豊富なプロがサポートしてくれるので問題はありませんが、打ち合わせをできるだけスムーズに進めるためにも、最低限「現状の課題」や「目指すべきゴール」は明確にしておく必要があります。
③見積もり
ヒアリングが終わると、担当者からプランと見積額の提示が行われます。
提示された内容に疑問点や不明点があれば、納得するまで質問を繰り返します。
④契約
提示されたプランや見積額に問題なければ、アウトソーシング先の企業と正式に契約を交わします。
ただし、一度契約を交わすと後から内容を変更するのは難しいため、不明点があればこの段階ですべて解消しておきましょう。
⑤利用開始
契約締結後は、双方で合意した内容に従ってアウトソーシング業務がスタートします。
派遣契約でない限り、基本的に業務遂行の方法に関してはアウトソーシング先に一任されますが、認識のズレを防ぐためにも定期的に打ち合わせの場を設け、情報交換や進捗の確認を行っておきましょう。
12.情シス業務のお悩み・お困りごとは、ぜひコンピュータマネジメントへご相談を
いかがでしたでしょうか?
情シス業務のアウトソーシングは、自社の情シス担当者の負担軽減や業務の効率化、コストの削減など、さまざまな点でメリットの多い方法です。
アウトソーシングの活用を検討する際には、自社で実施すべき業務と依頼する業務の線引きをしっかりと行い、目的や将来的な展望に合致した委託先を選ぶことが重要です。
なお、当社コンピュータマネジメントでは、「IT企画」「RFI/RFP作成」といった、主に上流工程メインの情シス業務支援サービスを展開しております。
ご相談は無料ですので、もし業務プロセスの改善やDX推進に向けて、社内システム企画業務に行き詰まっている場合は、ぜひ当社へお気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人
Y.M(マーケティング室)
2020年に株式会社コンピュータマネジメントに新卒入社。
CPサイトのリニューアルに携わりつつ、会社としては初のブログを創設した。
現在は「情シス支援」をテーマに、月3本ペースでブログ更新を継続中。